CV・CG・ロボティクスのためのリー群・リー代数入門: (番外編) セミナー講演と解説論文
たとえこんな泡沫ブログでも書いて公開しておくと何らかのきっかけにはなったりするもので,セミナー講演と解説論文執筆の機会を頂きました.関係各位に感謝申し上げます.
ブログの一連の記事とは話の進め方や力点の置き方が違っていて,扱うトピックが違うほか,基礎的な部分についてもより簡潔にまとめられたかなと思う (意図的に簡潔にしたのかというとそうでもなくて,講演時間や紙面の都合上そうせざるを得なかったという側面も大きい).
講演スライドは,今回初めて slidev というツールを使って作成してみた.スライド内でグラフをグリグリとインタラクティブにアニメーションさせたかったのだが PowerPoint ではうまくできなかったというのが使ってみた動機だったのだが,思いのほか苦労した.気が向いたらそのあたりの技術的な話もブログに書いてみたい.
- 鏡 慎吾: ロボット工学のためのリー群・リー代数入門, 日本ロボット学会誌, vol.41, no.6, pp.511-517, 2023. https://doi.org/10.7210/jrsj.41.511 (会員以外へは1年後に無料公開)
- 鏡 慎吾: ロボット工学のためのリー群・リー代数入門, 日本ロボット学会 第141回ロボット工学セミナー, オンライン, 2022.8.12. https://www.rsj.or.jp/event/seminar/news/2022/s141.html (講演スライド)
プログラミング演習用のポータブルな Python + VSCode + Git 環境
工学部機械系2年生向けのプログラミング演習科目のために,Windows 上で zip ファイルを展開するだけで使えるようになる Python + VSCode + Git の実行環境を作った.このエントリでは,技術的な要点と実際に運用してみてわかったことをまとめる.
- 背景
- 仕組み
- 構成要素
- WinPython
- MinGit
- VSCodium
- VSCode の設定
- 既知の問題
- VSCodium/Dictionaries
- pip の --user オプション
- アンチウィルスソフトウェア
- 構成要素
- 運用時のあるあるを早く言いたい
- zip ファイルの展開は失敗しがち
- バッチファイル経由の起動は忘れられがち
- 「フォルダを開く」指示は見逃されがち
カルマンフィルタをなるべく簡潔かつ直観的に導出する
時系列信号の推定・予測手法の基本中の基本であるカルマンフィルタを,直観的理解を見失わない範囲でなるべく簡潔に導出してみる試み.まあ実際に書き上げてみた結果「簡潔って何だっけ」という気持ちになってる.
直観的であることと簡潔であることはなかなか両立が難しい.実際,単に証明の字面を短くしたいならもっと別のアプローチ (例えば直交射影原理) の方がよいだろうし,今回のアプローチでもさらに冗長性を排除することはできる.しかし簡潔過ぎると初学者にはきつい (私にもきつい).少々長くなるのは許容して,導出になっているのと同時に解説にもなるようなものを目指した.
一方で,長すぎるとそれはそれで心が折れるので,細かい話や念のための補足説明は,注釈としてグレーのボックスに分けて書くことにした.
この手の文章を書くときに,前提知識をどう設定するべきかはとても難しい.今回は,線形代数は完全に既習として,確率論についても,密度関数,同時確率,条件付き確率といった基本的なところは説明なしに使うことにした.共分散行列や多次元正規分布などの必要な知識については注釈にて証明なしに紹介している.
- Too Long; Didn't Read
- カルマンフィルタの問題設定
- 最適推定 = 条件付き期待値
- 尤度関数
- 事前情報がない場合
- 複数の独立な観測に分けられる場合
- 事前情報がある場合
- カルマンフィルタ問題の解
- 時間更新
- 観測更新
- まとめ
- 他のいろいろな形式
- 文献ノート
オンライン講義に役立つ機材とソフトウェア (オンデマンド編)
バタバタと試行錯誤を重ねたオンライン講義も,最初のクォーターが終わろうとしている.かなり大変だったというのが正直な感想だった一方,貴重な経験と知見が得られたという思いもある.
どういう機材とどういうソフトウェアを使って実施してきたか,ここら辺で一度まとめておこうと思う.このエントリではあらかじめ録画しておいて講義動画をオンデマンド配信する方式についてまとめる.
なお,実際の動画はすべて公開済みでこんな感じ: https://swkagami.hatenablog.com/entry/comput_01arithlogic
目次:
- ハードウェア
- ソフトウェア
- 配信環境